2010年10月7日木曜日

闇夜〜続き〜

 〜前の続き〜
何時間歩いたのか 記憶になく 
山小屋に着いた時の安堵感
その心 言葉には表せません
一晩 眠り 昼食のおにぎりを貰い 
さらに山の上を目指して そして
頂上 なんという山なのかと 
鈴鹿山脈の釈迦ヶ岳 藤原岳 鈴ヶ岳 
御在所などの山でないことは確か
名前のない処かも 山の頂ではなく尾根
それから元へ戻るのではなく 向こう側へ・・・・・・
お天気は晴れていました でも誰一人いません
山の中 静寂そのもの しかも 何処にも道はありません
どうすると顔を見合わせました でも 目的を達成するためにと・・・・・・
なんと 愛知川の源流を・・・・・・たどろうと・・・・・
水の流れを探しました 道なき道の中 尾根から下りながら
なんて無鉄砲だったのでしょう 女二人で山の中を手探りであるこうなんて
勿論 地図はありません
親が この状態を知ったら なんというのでしょう 泣き叫ぶことでしょう
二人とも 鈴鹿の山へ行くと行って出てきただけ・・・・・・
しかし 今 思い返すと懐かしい 思い切ってあの冒険をしてよかったと思います
流れを探し出し 流れにそって歩きました 
道なき道を・・・・川の岸を あちらこちらと渡り歩きながら
川の中にはまらないように 飛び石を踏み歩いたり 濡れた石の上は足を滑らせないようにと
処によっては瀞もありました 今まで綺麗な水が流れていましたのに
急に 濃緑色の水が 流れが止まったように立ち止まって 渦巻いて・・・・・
そこをやり過ごす時は 恐怖のるつぼでした
瀞は多分 計り知れない深さでしょう 落ちたら終わりです
誰も助けには来ないでしょう 声をあげても聞こえないでしょう
山と山の合間 谷間 川幅は次第に少しずつ広くはなりますが
行けども行けども終わりがなきがごとくの道のり
昼食も途中でとりました 静かな流れの前で・・・・・・
川べりで 時折聞こえる鳥の声と 水の流れ以外 なにも音のない世界で
でも 楽しかったです まさに青春謳歌 
けれども帰宅が心配になりました どうすれば 地上にあがれるかと・・・・・
帰り道はあるのかと・・・・・・地図なき道 いかに人里へ行き着くか
暗くならない内に 脱出しないと 野宿は出来ない
そんなことを話ししながら 一歩 一歩踏みしめて 歩いていた時
ふと見上げると 上の方で 樹の間から車が走りゆくのが見えた
あっ!と声をあげて喜びました 人間の歩く道がある 人の行き交う道がある
忘れもしません 関西電力の車でした 
川べりは 樹が覆い被さり 歩くのが 困難になってきていました
これ幸いと その道へ出るために這い上がりました
崖をよじ登った様なものです 樹にぶら下がりながらですから
ラッキーでした 道路に上がったところは バス停の横でした
バスを 待っていた人が 私たちを見てびっくり 下から 谷底から上がってくるなんて
幸いにも バスはすぐに来ました 
途中 紅葉尾 永源寺を通り 八日市駅へ 近江鉄道に乗り 東海道線で無事帰還
近江鉄道は 豊かな田園地帯を 走る列車 
車両に誰も乗ってはおらず 私たちだけ 
思いっきり手足を伸ばし 幸福感 充実感に浸りました その心地よさに酔いしれました
想いもかけず長き文になりました
娘時代だから出来た冒険です 今ではとても出来ません
でもなんて無鉄砲なんでしょう よくやったと 今更ながら呆れています
闇夜に ふと昔が 甦りました
月のない夜ですが 窓を開けると夜風に乗って 甘い香りがします
金木犀が咲き始めたようで 我が家にはありませんが 
ご近所の木犀が 風に乗ってきています
なんとも言えない甘い香り・・・・・心くすぐる甘い香り 秋ですよ〜と
玄関先のペチュニアの改良種が 夏の暑さにくたびれた中 
わずかに息吹きかえしたように 申し訳なさそうに少しだけ咲いています
もうあと少しの命ですが・・・・・まるで秋へのバトンタッチまでと・・・・・
金木犀が咲き始めましたから やがて秋も深まりゆくことでしょう

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